フリートーク
怖い話 手押し車 Part1
投稿者:ジントニックさん 10代
男はある夜、
最終電車に間に合わず、
仕方なくタクシーで
最寄の駅まで帰ろうとしたが、
タクシーの運転手が道を間違え、
2つ先の駅まで行ってしまった。
非常に疲れていたので
怒る気力もなく、また、
そのままタクシーで
戻る気もしなかったので、
酔い覚ましにそこから
歩いて帰宅することにした。
時間は午前1時30分。
家までは30分くらいだろう。
その頃はまだ引越したばかりで、
道もそれほど詳しくなかった。
そのため、道を間違えないよう
線路沿いをトボトボと駅に向かって歩いた。
15分ぐらい歩いただろうか、
前方から人が見えた。
何かを押して歩いているようだ。
よく見ると、手押し車を押している
白髪の老婆だった。
押し車の上には白いビニール袋が載っている。
「夜中に気味悪いなあ」
と思いながら、すれ違いざまに
チラッと老婆を見た。
「ちゃんと足もあるし幽霊じゃない。
人間だ。だけどなんで夜中に歩いているんだ?」
とにかく人間であることが
確認できたので安心し、家路を急いだ。
やっと自分の住んでいる駅まで来た。
携帯の時計を見ると午前2時をちょうど過ぎたところだ。
この駅の周りはコンビ二と小さな商店街があるだけだ。
とにかく早く寝たかったので、
コンビニも立ち寄らずマンションへと向かった。
十字路を左に曲がれば家まで50mというところで…。
ガラガラガラガラガラ…
十字路の左側から聞き覚えのある音が聞こえた。